ホットケーキ人情(詳しくは「続きを読む」をクリック)

先日、森永の『目をとじて味わうホットケーキ』というので作ったホットケーキがとても美味しかった。

いつもは、これまた森永のホットケーキミックスなのですが、それよりもメイプルシロップ風味が強い感じというか、なるほどこれはたしかに目をとじて味わいたくなるホットケーキでした。

 

それで、目をとじて味わっていた時にふと、私の中にとある情景が思い浮かんできたのです。


新婚のカワグチタエコさん。

新居にて新婚生活をスタートし、その様子を見に来たタエコさんのお父さん。


「久しぶりにお父さんのホットケーキが食べたいなぁ」

 

「いつでも食べれるだろ。オレが作ってたのはホットケーキミックスの方なんだから。箱に書いてある通りに作れば、いつでもカワグチ家のホットケーキが食べられる!」

 

「まぁそうなんだけど。でもたしかに、いつでもスーパーに行けばお父さんのホットケーキが売ってるって、なんだか不思議だわ」

 

「オレは別に開発者ではないがな! しかも過去の話じゃないか。工場で作ってただけだから」

 

「どっちでもいいじゃない、そんなこと」

 

「それよりオサム君とはうまくやっているのか?」

 

「まぁ、なんとか……?」

 

「オレより母さんが心配してるんだよ。オサム君はなんていうか。その。イケイケな感じだろ? 母さんはあぁいうタイプが苦手でな、お前が振り回されないかと……」

 

「それは結婚前から言われてたから……」

 

「……まっ、いいんだ。こんな話をしても仕方ない」

 

 

そうこうしてるうちに、タエコさんの夫のオサムさんが帰ってきます。

 


「ただいまーっす! あっ! お父さん、もう来てたんすね!」

 

「やぁ、オサム君! お邪魔してます」

 

「ねぇねぇ、せっかくだからなんか作ってよ、ぱてぃしえぇ~」

 

「ウォッケィ!……お父さん、なんか食べたいお菓子ありますか?」

 

「ん~…食べたいお菓子ねぇ……。……。……」

 

「もう! 無いの?」

 

「いや、お菓子は大好きなんだよ。ただ、頭に浮かばないんだよ。西洋のお菓子は名前がほら、横文字ばっかりでよく分からんから。お菓子は好きなんだよ?」

 

「それじゃ、適当に何か作りますよ!」

 

「まってまって! だったらホットケーキ作ってよ! ちょうど、さっきお父さんとホットケーキの話してたのよ!」

 

「ホットケーキ? なんで? 別にいいけど、お父さんはいいんすか?」

 

「いやぁ、私はホットケーキは…今はちょっと入りそうにないな。ありもので良いよ。簡単なやつをお願いします」

 

「んじゃプリンとかどうっすか?」

 

「あぁ、いいねぇ! それでお願いします」

 

「えぇ! それじゃホットケーキは?」

 

「わかったわかった! ちゃんとそれも作るから!」

 


こんな具合で、パティシエのオサムさんは腕を振るい、即席だが、これまた派手に仕上がったデザートが出てきます。


「おぉ! うまそうだなぁ……」

「召し上がれ~」

 

「うん、美味しいよ! オサム君! いやぁ、さすがお店も繁盛するわけだ!」

 

「あざっす! タエコはどう?」

 

「美味しい! すごい美味しい! ……けど、、」

 

「ん?」

 

「なんか私の思ってたホットケーキとちょっと違うのよねぇ」

 

「えぇ? 思ってたほど美味しくないってこと?」

 

「いや、そうじゃないの。なんて言うか、これはこれですごく美味しいんだけど、スーパーのホットケーキミックスで作ったやつと全然違うじゃない?」

 

「んー、よくわかんねぇけど……ん? オレのホットケーキは市販のホットケーキより美味くないと?」

 

「いや、そうじゃないんだけど……なんて言ったらいいんだろう……」

 

「そうだそうだ、忘れてた! このあいだ、友達から外国の美味しいメイプルシロップもらったんだった。それで食べてみたら絶対おいしいと思うよ!」

 

「いや、だからそうじゃなくて……あぁ」

 

「ほら! どう? 食べてみて!」

 

「……う、うん。美味しいよ? 美味しんだけど……」

 

「ハ? 何がいけないんだよ? オレにもちょっと食べさせて……うん、美味しいじゃん! お父さんもどうすか? 一口」

 

「あ、いや、私は……遠慮するよ」

 

「どこがいけないのか教えてくれよ! オレも作る側の人間だから、食べる側の意見が聞きたいんだよ」

 

「だから、美味しいんだって! でも、今はなんていうか、市販のホットケーキがいいかなぁって……」

 

「なんだよ! 作れと言っておいて……。大体、オレのホットケーキが市販のホットケーキに劣るなんて、そんな」

 


ここで本格的な嫌なムードになる前の絶妙なタイミングで咳払いをするタエコ父。

 


なんていう、嗚呼。なんと甘美なホットケーキ人情劇。

 


私は件のホットケーキを目をとじて味わいつつ、しかし頭の中ではそんな人間模様が展開されていた。


顔がニヤニヤしている自分に気づき「あぁ、いかんいかん!」と我に返り、つくづく自分は何をやってるんだと、このクソバカ脳みそを一、二度程ハンマーで軽めに打った方が良いのではないかと反省するのであった。


そうこうしているうちに、また、とある情景が思い浮かんできました。


大工のヤジマキヨシさん。

働いている最中、足場から踏み外し、転落。足首と肩を痛め、入院中。経過を看に来た棟梁。


「申し訳ありません。オレがドジなばっかりに……」

 

「バカ野郎! お前は悪かねぇわい。これはオレの責任だ」

 


ってもう、嗚呼。誰か止めてくれ!!!

 

 

 

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